【名作】川上弘美『センセイの鞄』感想|続編・ドラマ化・配信情報まとめ

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名作と言われる本を読んでみました。

川上弘美さんは、以前よく読む作家さんだったのですが、最近はすっかりご無沙汰に。

そんな中、彼女の代表作であるこの作品、実はまだ読んでいなかったことに気が付きました。

最近ふとこの作品が気になって、読んでみたところ「今読んで良かった…」と思える1冊だったのです。

そこから続編、ドラマへと手が伸び、気が付けば物語の世界にどっぷり。

今回は、アラフォー女性に静かに刺さる作品『センセイの鞄』についてレビューします。

目次

川上弘美『センセイの鞄』どんな作品?

あらすじ

37歳のツキコが居酒屋で出会ったのは、学生時代の国語の先生。

お互い一人で通っていた居酒屋で、会えば会話を交わすようになります。

“センセイ”との日々は、居酒屋から始まり、露店巡りやお花見と四季を巡っていくのでした。

歳の離れた男女の恋情を描いた作品です。

注目ポイント

川上弘美さんが、谷崎潤一郎賞を受賞した本作。

40歳目前のツキコと、30と少し年の離れたセンセイの間に芽生える恋情を描いています。

純文学として、15万部を超えるベストセラーになった作品で、翻訳され海外でも愛される作品となりました。

テレビドラマ化、舞台化、ラジオドラマ化、漫画化と様々な媒体で扱われるほど、人気の作品です。

読んだ感想

この作品は、2001年に刊行された作品。

ということは、今から24年前に単行本化されたってことですね。

で、それは自分が何歳だった時かな~と考えると、10代後半だと分かりました。

その時に読もうと思ったか?答えはノー。

なんてったって、2人の歳の差がありすぎる…その頃の自分と置き換えてみると、50歳前後の人との恋愛って思うと、「感情移入が全くできなさそう」と思ったのでした。

だから、この作品はなんとなーく避けてきたんです。

だけど、主人公の歳がアラフォーだと分かり「今なら感情移入できるかも⁉」と思いまして。

読んでみたところ、やっぱり今読んで良かった~と思いました。

10代20代では、全く感情移入できなかったんじゃないかしら。

アラフォーで独身、一人でいることに慣れたツキコ。

そこに、食べ物の好みが合う“センセイ”が現れた…まず、食べ物の好みが合うって大事ですよね。

美味しい物を一緒に「美味しいね」と言い合える人と、一緒にいたいと思いますし。

そして小説にはツキコの目線で、〈肴の好みだけでない、人との間のとりかたも、似ているのにちがいない。〉〈同じ年の友人よりもいっそのこと近くに感じるのである〉と記述がありました。

歳が近くても、お互いの距離感や関わり方が「何だか違うな…」となると、若い時と違って距離を置きたくなります。

ツキコとセンセイは、性格的な相性が合ったのでしょうね。

そして、2人の仲は淡々と進みます。

文章も淡々としていて、劇的な感じはないのですが、それが私には読んでいて心地よかったです。

その方が、2人をリアルに感じられるような、そんな気がしました。

さて、淡々とした日常が流れ、ある時ツキコが〈どうしてセンセイと話をするときにわたしはすぐ憮然としたり憤慨したり妙に涙もろくなったりするのだろう。もともとわたしは感情をあらわにする方ではないのに。〉となります。

ツキコが、センセイにぞっこん(古い?)になっていく様子、読んでいてなんだか微笑ましかった。

一人に慣れたツキコが、もうセンセイがいない世界が想像できないようになっており、それにグッときました。

ツキコの気持ちの流れが繊細に描かれており、川上弘美さんの手腕をみた気がします。

ところで、この本は当時多くの中高年男性を「舞い上がらせた」とのこと。

どういうこと?と一瞬思ったけど、「なるほどね…」とすぐ納得しました。

70歳がらみの男性が、30歳以上歳の離れた女性と恋に落ちる。そして、幸せな老年期を過ごす。

そうですね、これ、中高年男性が理想とする老年期なのかも!?

そんなわけで、女性だけではなく、男性も虜にした小説だということが、分かりました。

文庫版の解説では、当時のフィーバーっぷりを知ることができるので、そちらもおすすめです。

静かに進む2人の恋愛。
ほんわか、ほのぼのとした気分になりたい時、ぜひ1度読んでみてください!

続編も読んでみた感想

続編も出ているとのことで、読んでみました。

ツキコがセンセイと過ごした“ある日”のことを描いた作品のようでした。

センセイに促され、小さい時の話をするツキコ。

途中で絵が入るのと、文字がそんなに多くないので、読みやすくてすぐに読み終わってしまいました。

これは、続編というより、別の物語として成立しているような気がします。

それなので、2人の恋模様や関係にスポットが当たっているわけではないので、がっかりしてしまう人もいるかも。(私自身も、もう少し2人の会話を読みたかったな~という思い。)

小学生時代のいじめや人間関係を不思議な文体で描いていて、そういった内容に興味がある方が読むといいのかな?と思いました。

ドラマ『センセイの鞄』について
(配信情報も)

『センセイの鞄』は、WOWOWで2003年ドラマ化されました。

ツキコを小泉今日子さん、センセイを柄本明さんがそれぞれ演じています。

現在配信では、U-NEXTとAmazonプライムビデオで鑑賞可能。(2025年12月現在)

私は、Amazonプライムビデオで鑑賞しました!

30日間無料お試しありです /

2人の通った居酒屋、お花見での風景…小説では、想像だけだった風景が、映像で綺麗に再現されており、観てよかったです。

キョンキョンがとても可愛く、こんな人に思いを寄せられたら、嬉しくてしかたないだろうなぁと思ったのでした。

センセイの元妻役が樹木希林さん。

柄本明さんと樹木希林さんの2人芝居も必見。(というか、樹木希林さんのオーラが凄かった。)

ちょっと昭和な雰囲気のドラマで、それがお伽話のような感覚になれて心地よかったです。

個人的には、小説を読んでからドラマを観る順番をおすすめしたいです。(小説で想像してから観た方が、より楽しめるかと。)

漫画『センセイの鞄』について情報

漫画化もされている『センセイの鞄』。

絵は、孤独のグルメなどを手掛ける谷口ジローさんが担当されています。

原作者の川上弘美さんが、もし漫画化するなら、谷口ジローさんにお願いしたいと言って実現したんだとか。

漫画も必見です!(全2巻)

まとめ

今回は、川上弘美さんが描いた名作『センセイの鞄』についてでした。

なんでもっと早く読まなかったんだろう…と思ったけれど、アラフォーの今だから心に沁みた気もします。

気になった方は、ぜひ手に取ってみてくださいませ。

皆さまの本選びの参考になれば幸いです。

  • 川上弘美『センセイの鞄』は、アラフォー女性と30と少し年上のセンセイとの恋情を描いた物語。
  • 続編もあり、ツキコとセンセイのある日について書かれている。
  • ドラマ化、舞台化、ラジオドラマ化、漫画化されている。
  • ドラマは現在、U-NEXTとAmazonプライムビデオで鑑賞が可能。

最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

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